毎年スギ花粉でつらいあなたへ。花粉症を治す「舌下免疫療法」。ダニアレルギーにも効果。
4人に1人がスギ花粉症
毎年1月末頃から飛び始める「スギ花粉」。毎年悩まされている人は多いのでは無いでしょうか?
スギ花粉症は、日本人の実に4人に1人が罹患しているとされ、鼻水、鼻詰まり、目や耳のかゆみ、だるさなど、多くの不快な症状をもたらします (Prog Med.28(8)2001,2008)。
花粉症はマスクやメガネによる暴露対策に加えて、フェキソフェナジンなどの抗アレルギー剤による治療が一般的です。
しかし、抗アレルギー剤の効果が不十分だったり、副作用の眠気やだるさ、口の乾きなどで生産性が低下している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
舌下免疫療法の原理と効果
そのような方におすすめしたいのは、スギ花粉症に対する「舌下免疫療法」です。
アレルゲン(この場合はスギ花粉)を少量ずつ投与することで、体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげたり、根本的な体質改善を期待する治療法です。
くしゃみ、鼻水、はなづまりの改善、涙目、目のかゆみの改善、アレルギー治療薬を減らしたり、なくしたりすることが可能です。
臨床試験では、約8割の方に効果があり、そのうち2割の方は症状が出なくなりました。残りの約6割の方は症状が改善しました。
スギ花粉症に対する舌下免疫療法の実際
スギ花粉に対する舌下免疫療法は、スギ花粉が飛散していない時期に開始しなければならず、6月~11月末までに開始するのが一般的です。
また、原則5歳~64歳の方が対象となります(65歳以上では効果が確立されていません)。
なお、本治療は、事前にトレーニングを受けた医師・医療機関しか処方できません。
▼典型的な治療の流れは次のようになります
1回目の受診:採血でスギ花粉に対するアレルギーを確定します。
2回目の受診:シダキュア(2000JAU)を処方します。初回のみ院内で服用し(舌下にて1分保持した後のみこむ)、問題がないか30分間院内で経過観察をします。
3回目の受診:2回目から1週間後です。2000JAUでの副作用に問題がなければ、シダキュア(5000JAU)に増量し、2週間処方します。
4回目の受診:3回目の2週間後です。5000JAUで問題ないかを確認します。以後1ヶ月おきの受診となります。
治療期間は3年以上が推奨されています。少しずつ体をなれさせていく治療ですので、時間がかかりますが、初年度でも効果を実感される方は多く、毎年さらに良くなっていくように感じられる方が多いようです。
治療上の注意
・乾いた手で取り扱って下さい
・内服後5分はうがいや飲食を控えて下さい
・投与2時間は激しい運動、アルコール、入浴を避けて下さい(吸収がよくなりすぎてしまうため)
・副作用としては、口の中の腫れ、イガイガ、口内炎、目のかゆみ、頭痛、下痢、腹部不快などが見られることがあります。しかし多くは数日から1ヶ月程度で消失します。極めて稀ですが、呼吸苦など重大なアレルギー症状が出た場合は、直ちに医療機関に連絡して下さい。
治療を受けられない方
・スギ花粉症ではない方
・重い気管支喘息の方
・悪性腫瘍や免疫系の病気がある方
治療上注意が必要な方
・抜歯後や口の中の術後、または口の中に傷や炎症などがある方
・妊婦の方、授乳中の方
・アレルゲンを使った治療や検査によってアレルギー症状をおこしたことがある方
・気管支喘息の方
・重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症がある方
・他に服用中のおくすりがある方[非選択的β遮断薬、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)など]
・全身性ステロイド薬の投与を受けている方
ダニアレルギーにはミティキュア
ダニアレルギーに対しては「ミティキュア」という舌下免疫療法のお薬があります。
1年を通してアレルギー症状がある方は、ダニアレルギーがないか調べてみることをおすすめします。
ミティキュアでの治療初期には、のどイガイガなどの副作用が出やすいので、抗ヒスタミン剤を併用することをおすすめしています。
▼典型的な治療の流れは次のようになります
1回目の受診:採血でダニに対するアレルギーを確定します。
2回目の受診:ミティキュア(3300JAU)と抗ヒスタミン剤を処方します。初回のみ院内で服用し(舌下にて1分保持した後のみこむ)、問題がないか30分間院内で経過観察をします。
3回目の受診:2回目から1週間後です。3300JAUでの副作用に問題がなければ、ミティキュア(10000JAU)に増量し、2週間処方します。
4回目の受診:3回目の2週間後です。10000JAUで問題がなければ、抗ヒスタミン剤は終了します。以後1ヶ月おきの受診となります。