麻疹の流行と予防について
まとめ
・麻疹は感染力が非常に強く、時に後遺症を残す。
・麻疹の治療薬はなく、ワクチンでの予防が大切。
・50歳以上の方はワクチン未接種の可能性あり。通算2回接種が必要。
・抗体検査ないしワクチン接種をお勧め。
インド帰国後の30代男性、同じ新幹線に乗り合わせていた30代女性、40代男性と、麻疹患者の発生がTV等で報道されています。麻疹は予防接種で防げる病気ですが、免疫がない方にとっては後遺症を残したり、時に命に関わる危険な病気です。
麻疹の感染力は非常に強く、免疫がない方が接触すると9割が発症
麻しんは空気感染する感染力が極めて強い感染症です。
感染力を表す「基本再生産数(※)」は麻疹が12-18で、インフルエンザは2-3ですから、インフルエンザの約5-10倍という最強レベルの感染力を持ちます。
免疫を持たない人が麻しん患者に接すると、9割の人が麻疹を発症すると言われています。
※基本再生産数:感染力のある1人の感染者が、免疫の獲得または死亡によりその感染力を失うまでに何人の未感染者に伝搬させたかの人数
麻疹は脳炎などの合併症を起こし、時に後遺症を残す
麻疹を発症した場合、約3割に合併症(脳炎、肺炎、腸炎、中耳炎)を起こします。https://www.tokushima.med.or.jp/article/0001184.html#:~:text=%E9%BA%BB%E7%96%B9%E8%84%B3%E7%82%8E%E3%81%AE%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E7%8E%87,%E3%81%97%E3%81%A6%E9%80%B2%E8%A1%8C%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
また、麻疹ウィルスが脳内に潜伏し、感染してから数年~十数年後に、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という死に至る神経難病を発症することがあります。SSPEの確率は低く、麻疹にかかった人の数万人に1人程度ですが、1歳未満にかかった人、免疫抑制治療を受けている人に多いと言われています。SSPEに治療法はありません。
麻疹の治療法はなく、ワクチンでの予防のみ
麻疹に対する特別な治療法はなく、唯一有効なのは予防接種です。
生涯で2回麻疹ワクチンを接種していれば問題ありませんので、可能であれば母子手帳を確認されて下さい。
幼少期にかかったことがある場合は、二度かかることはないので問題有りませんが、麻疹だと思っていたが実は三日ばしか(風疹)だったり、違う病気だったりすることが多々あります。
心配であれば、抗体検査を行うことも有効です。
50歳以上はワクチンを打っていない世代。抗体検査またはワクチン接種を。
国の予防接種政策のゆらぎで、現在50歳以上の方はワクチンを打っていない可能性が高いです。また、33-50歳の方も1回のみの接種で、免疫が不十分な可能性があります。通算2回接種となるように、追加接種をお勧めします。
なお、麻疹ワクチンを打っていない谷間の世代は、風疹のワクチンも十分に行えていません。麻疹と風疹をあわせたMRワクチンで両方カバーすることをお勧めしています。
抗体検査、ワクチンは自費診療となります
お気軽にお電話でお問い合わせ下さい(ワクチンは予約が必要です)。
麻疹抗体検査:4400円
MRワクチン:9080円/回