R-CHOP療法の概要と副作用

1. 治療の概要
R-CHOP療法は、CD20陽性非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫)に対して行う代表的な化学療法です。
本稿ではRCHOP療法の薬剤の種類と代表的な副作用について解説します。
通常、21日(3週間)を1サイクルとして、合計で6~8コースを実施します。1コースごとに薬剤を投与し、残りの期間で体力を回復します。
•リツキシマブ(抗CD20抗体): 1日目に点滴静注で投与します。
•シクロホスファミド: 1日目に点滴静注で投与します。
•ドキソルビシン: 1日目に点滴静注で投与します。
•ビンクリスチン: 1日目に点滴静注で投与します。
•プレドニゾロン(ステロイド剤): 1~5日目に錠剤を経口服用します。1日目のみ点滴静注で行うことがあります。
これらを合わせて1コースとし、3週間ごとに繰り返します。通常6~8回の繰り返し(コース)で治療を行います 。
2. 各薬剤の主な副作用
•リツキシマブ(リツキサン): 点滴中に発熱・悪寒・発疹・せきなどの**インフュージョン・リアクション(輸注反応)**と呼ばれるアレルギー様症状が出ることがあります。発症時は点滴を一時中止し、対応します。
•シクロホスファミド(エンドキサン): 代謝物が膀胱を刺激して出血性膀胱炎(尿に血が混ざる、排尿痛など)を起こすことがあります 。投与後は水分をよく飲み、頻繁に排尿して尿に血が混ざっていないか注意します。
•ドキソルビシン(アドリアマイシン): 投与後しばらくの間、尿や汗が赤く着色することがあります 。また、累積投与量が増えると心臓の筋肉に障害が起こり、心機能が低下して心不全になる危険性があります 。
•ビンクリスチン(オンコビン): 末梢神経障害(手足のしびれ、痛み、力が入りにくい)や便秘を起こしやすい薬です 。足腰の力が弱くなったり便秘がひどいときはすぐに知らせてください。
•プレドニゾロン(プレドニン): ステロイド剤の副作用として、食欲増進・体重増加・むくみ・高血糖(血糖値上昇)・イライラ、不眠などが起こることがあります。また免疫力が低下し感染しやすくなる場合があります。体調の変化があれば医師に報告します。
3. 全身的な副作用
R-CHOP療法では、がん細胞だけでなく正常細胞にも影響が出ることがあります。代表的な全身副作用として、以下のようなものがあります :
•脱毛: 全身の毛(頭髪、眉毛、体毛など)が抜けることがあります 。治療終了後、毛は再び生えてきます。
•吐き気・嘔吐: 薬の影響で吐き気や嘔吐が起こることがあります 。点滴前に吐き気止めを使いますが、食欲低下や体調不良が続く場合は医師に相談してください。
•感染症: 治療により白血球(特に細菌と戦う好中球)が減少すると、風邪や肺炎などの感染症にかかりやすくなります 。37.5℃以上の発熱、のどの痛み、せきなどがあればすぐに連絡してください。
•骨髄抑制: 白血球・赤血球・血小板などの血液成分が減少することがあります 。これにより貧血(だるさ、息切れ)、出血傾向(歯ぐきからの出血、あざができやすいなど)、易感染性が現れます。血液検査で血球数を確認しながら治療を進めます。
4. 重篤な副作用について
抗がん剤治療には、上記以外にも予期せぬ副作用が起こる可能性があります。特に重篤な副作用としては、劇症肝炎や心不全、重い感染症、アナフィラキシーショック(激しいアレルギー反応)などが報告されています。これらは、まれではありますが生命の危険を伴うこともあります。治療中は全身の状態に細心の注意を払い、異常があれば直ちに医師に報告してください。